半裸の女子高生の格好を

半裸の女子高生の格好を
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■ 裏山

祖母の家には裏山があった。
裏山といっても子どもの頃の山だから、今いくと対して大きな山ではないのかもしれないが、なまじ体が小さかったもので、ジャングルにでもいるような感覚で駆け回っていた。
こういう山につきものなのが不法投棄である。しかも、いかがわしい雑誌の。
どういうわけか、私はこの手の雑誌を見つけるのが得意なようで、しばしば裏山でそれを発見することになる。
野生の感、なのかもしれない。
ジャングルの王者であった私は中身をしっかり確認し、
「こんな裸の女性が載りまくっている雑誌を大人が見つけたら大変だ」
と、落ち葉を上にかぶせ、自然にかえそうと考えた。
そして来る日も来る日も、なかなか自然にかえらない雑誌を眺めにいっては、
「これはいかんなぁ。これはけしからん。こんなにけしからんのに困っちゃうな、なかなか土にならなくて…」
と、また落ち葉を上にかける次第であった。
正義感が強すぎたのであろう。

■ 電車

電車に乗ったとたん、あの頃の野生の感が働いた。妙な気配を座席から感じるのだ。
どうりで…私の隣に「半裸の女子高生」の格好をした女性が座っている。
いかがわしい雑誌だ。
私は席を変えようとした、というより実際変えたのだが、
「次来た人もあの席には座れまい。
ただ雑誌が置いてあるだけなのに、サラリーマンも座れず、女子高生も座れず、二人の目があったときに妙な気まずさが漂うのは目に見えている。
ここは人目が無いうちに私が中身を確認して、鞄にしまい、どこかで処分するのが得策であろう」
と考え、半裸の女子高生の隣に再びお邪魔した。
なまじ正義感が強すぎて困るのだ。
中身は予想を裏切ることのないクオリティのものであった。申し分のない「いかがわしさ」である。
私はそっと鞄にしまいこむ。
「さて…後は人に見られず駅のゴミ箱へ…」
と考えたとき、ふと気づいた。
私の家の最寄り駅は、朝夜は無人駅である。そして管理しきれないのであろう、ゴミ箱がない。
「…ということは…家?」
家でどうやって処理しろというのだろう…。
一瞬ディテ(嫁)の視線が脊髄を貫いたような感覚に襲われた。
なんだかとんでもない爆弾を抱え込んでしまったような気がする。
「なぁ、どうしたらいい?」
鞄の中の女子高生(姿の女性)にそっと話しかけた。