右向きゃ右。左向きゃ…

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上司がいう。
「独身のときにコテンパンにされたもん。奥さんに逆らっちゃぁいけない」
私はといえば、新車を乗っ取られ、家庭の会計をクビにされた。
強すぎる。ハンパなく強すぎるのだ。
そんな話をしていると、先輩がこんな話しをしてくれた。

右向きゃ右

うちの家は部屋数も多いんだけど、石油ファンヒーターの数が7台もあるんだよ。
10日で赤いの3個ぶん…54リットルかな?…が無くなっちゃうんだ。
それを補充するのはもちろん全部俺、パパの仕事だよ。
毎晩毎晩、どっかのファンヒーターの灯油を入れてるわけです。
でもさ、そんなにヒーターの数多いのに俺の仕事部屋には無いの。俺の仕事部屋だけ…。
「なぁ、8台っていうと多くなっちゃうけど、もう1個買ってくれない?仕事部屋に」
奥さんと交渉したんだけど。
「あんたんとこなんか仕事してるときにしか使わないんでしょ?子どもが夜寝てから、あの子たちの部屋から持ってくればいいのよ」
だからいっつも羽毛のベンチコートを着て、白い息を吐きながら仕事してるの。
この間なんか、
「ぱぱー、お客さん!」
はーいって下に降りていったら、お客さんが目ぇまん丸にしてさ、
「あぁ、出かけるところ訪ねてきてしまってすみませんっ!」
いや、部屋でこの格好なんですって言えないでしょ?
「ぁあ、まぁ気にしないでください」
なんて言っちゃったよ。
でもさ、ヒーター買わないって言われたら買わないんだよ。
奥さんが右向きゃ右なんだよ、君。
極寒のこの地でファンヒーターをあてがわれないなんて、地獄っ。
まだましだな、うちなんて。左向きゃ左でいこう。