クリームパンの食べ方が生き方

クリームパンの食べ方が生き方
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昔、私が幼稚園のときの話である。
ある男の子がわんわん泣いていた。
弁当を忘れたのか持たされなかったのか
「ぜんぜぇ、ひる゛あらへん」
と、わめいていた。
かわいそ…
お昼前になると、その子は連れられ、
いただきますのときには、バスの運ちゃんおじちゃんに手を引かれて帰ってきた。
手には菓子パンを持っている。
かわいそうじゃ、ない。
見つめながら、
ぼくも、かしパンたべたい…
そっと弁当箱を押して、膝から落とそうとした瞬間、
ガシっ
隣りに座っていた宮野ゆきちゃんが私の腕を掴み
「やめとき、菓子パン食べたいんはあんただけとちゃうで。ほら見てみいな。みんなパン横目で見ながら弁当箱しっかり握ってるがな。
昔あんたと同じことして張り付け獄門、お昼抜きのそらぁエラい目にあった子がおるらしいんやわ。
わるいこと言わへん。やめときって」
と言った、気がする。
その子が食べていたのはクリームパンであった。
クリームパンはそれ以来の好物で、母親とパン屋にいくたびに、よくおねだりしていたものだ。
中にはケチなパン屋もあって、パンの中を占めるクリームの割合が極度に低いものがある。
それに当たったときは、
「クリームパンやのにクリームパンやない部分が多すぎるで、これ」
少しキレ気味で子どもなりに対処法を考えた。
まずまわりのパンだけ食べる。クリームが出てくるギリギリまでまわりを食べる。
ハンバーガーみたく、クリームサンドになった状態にして
「いただきます」
いっきにほおばるのだ。
これは待たされるぶん、最後の一口の幸せが大きくなる。
もう病みつきになった。
食パンもミミから食べ、ジャムパンなども全部この方法で食べた時期がある。
なぜだかしらないが、今はクリームパンだけにその名残が残っている。
そう思っていたのだが、先日私がこの食べ方をしていると、隣りにいた友人が、
「お前、好きなもの後に残して食べていくタイプだろ」
当たっている。
どうやら、食べ方全てに影響が残っているらしい。
「仕事もイヤなものからこなすやろ?
読みだい本後にまわして積んでしまう、
やりたいRPGおいておいて判らなくなって売ってしまう、
本命になかなか声かけんと最後に抜け駆けするタイプやな」
クリームパンの食べ方が人生全般に影響しているかもしれない。